引き出しの中の海 第20話「保留」

書類の「作業内容」の欄が、埋まらないまま二週間が過ぎていた。…

引き出しの中の海 第19話「花火」

紙は三枚あって、そのうちの一枚だけを表にして置いた。 印刷は…

引き出しの中の海 第18話「日付だけ」

罫紙には、日付しか書かないことにした。 本文は一行も書き写さ…

引き出しの中の海 第17話「二杯目」

四日ぶんの夜更かしを顔に貼りつけたまま、僕は「錨」の戸を開け…

引き出しの中の海 第16話「誕生日」

二十年、報告しか書かなかった父親が、最後の晩に一つだけ質問を書いていた。四月十四日という日付に気づいた夜。

引き出しの中の海 第15話「夜の声」

父親は二十年間、死んだ息子に、その日あったことを報告し続けていた。僕がログを読む、最初の夜。

引き出しの中の海 第14話「読む係」

読まないでくださいと言っていた人が、読んでくださいと言った。所長の「うちは読まない」という線と、初めて正面からぶつかる回。

引き出しの中の海 第13話「理科室」

学校というのは、死んだ人の字がいちばん残りやすい場所だった。夏休みの中学校へ、修一さんの実験ノートを返しに行く。理科準備室の古い机の引き出しの内側に、誰も知らない小さな彫り跡があった。

引き出しの中の海 第12話「シュウヘイ」

三日迷って名前だけを尋ねる電話をかけた僕に、佐伯さんは事務所を再訪して答えを持ってきた——シュウヘイは、二十年前に亡くした九歳の息子だった。

引き出しの中の海 第11話「半分」

「半分だけ、消してください」と言った声と、目の前に座っている…