Claudeに何かを頼んだのに、返ってきた答えが思っていたものと違う。長すぎる、一般論すぎる、いちばん知りたかったところに触れていない。初めてAIを使うとき、ここで「やっぱり自分には向いていないのかも」とやめてしまうのは、とてももったいない話です。
でも、これは失敗ではありません。Claudeを作っている会社(Anthropic)の公式ブログにも、最初の指示が一発でうまくいくことはめったにない、とはっきり書かれています(英語の原文を日本語に言い換えたものです)。大事なのは、思っていたのと違う答えが返ってきたあとに、次に送る一言で近づけることです。
この記事では、そのままコピーして送れる言い直しのパターンを5つ紹介します(この記事では「型」と呼びます)。どれも「こう言えばいいはず」という話ではなく、実際にそのやりとりを送ってみて、答えがどう変わったかを確かめた結果つきです。
答えがズレるのは、よくあることです
先に言葉をひとつだけ。AIに送る指示や質問のことをプロンプトと呼びます。むずかしく考えなくて大丈夫です。この記事では「指示」「頼み方」と言い換えて進めます。
答えがズレる理由は、たいていの場合ひとつです。こちらが当たり前だと思っていることを、Claudeは知らないから。Anthropicの公式ガイドは、Claudeを「とても優秀だけれど、入ったばかりの社員」だと考えるとよい、と説明しています。その人は、あなたの職場のやり方も、暗黙の決まりごとも、まだ知らないからです。
入ったばかりの人に「いい感じにやっておいて」と頼んだら、どこにでもあるような無難な答えが返ってくるはずです。いま起きているのは、それと同じことです。自分を責める必要も、あきらめる必要もありません。足りなかった一言を、次のメッセージで足せばいいだけです。
いちばん大事なこと:新しいチャットを開かず、同じ会話で言い直す
答えがズレたとき、多くの人が「新しいチャットを開いて、もう一度ちゃんと書こう」とします。でも、たいていの場合はそのまま同じ会話を続けて、次のメッセージで直したほうが早いです。
Claudeは、同じ会話の中では直前までのやりとりを見ながら答えます。だから「そこじゃなくて、こっち」「3つ目だけ直して」という言い方ができます。新しいチャットではさっきの答えが存在しないので、条件をもう一度ぜんぶ書き直すことになります。

新しいチャットにするのは、話題がまるごと別のものに変わるときで十分です。
そのまま使える、5つの言い直し
ここからが本題です。次の表がこの記事のすべてなので、これだけ覚えて帰っていただいても大丈夫です。◯◯の部分を自分の言葉に置き換えて、そのまま送ってください。

ひとつずつ、実際に送ってみた結果と一緒に見ていきます。
① 前提を足す(答えが一般論で終わったとき)
そのまま送っていい言い方:
前提を足します。予算は◯◯、使うのは◯◯、目的は◯◯です。この条件に合うものだけ3つに絞って教えてください。
実際に試したら:「新しいノートパソコンを買いたいです。おすすめを教えてください」とだけ送ったところ、返ってきたのは「事務作業ならこのくらい、動画編集ならこのくらい」という用途別の一般的な説明と、こちらへの質問4つでした。Macの機種名がわずかに触れられた程度で、あとは部品の種類の話でした。こちらの事情に合わせて選んでくれたわけではありません。
そこで「予算は10万円まで」「自宅の事務作業(ExcelとZoomの会議)だけ」「持ち歩かない」「画面は大きいほうがいい」と前提を足して、3つに絞るよう頼みました。すると条件に合う候補が3つと、買う前に確認したい3点(表計算ソフトが付属しているか・カメラが内蔵されているか・有線でネットにつなげるか)まで返ってきました。
コツ:足すのは「予算・締め切り・誰が使うか・何のために・してほしくないこと」あたりです。自分にとって当たり前すぎて書かなかったことほど、効きます。
② 答えの形を指定する(長い・かたい・そのまま使えないとき)
そのまま送っていい言い方:
長すぎました。同じ内容を、300字以内・箇条書き5行・カタカナの専門用語なしで書き直してください。
実際に試したら:「社内のみんなに、AIを仕事で使ってみようと呼びかける文章を書いてください」と頼むと、前置きや補足も含めて900字近い長い文章(898字)が返ってきました。上の一言を送ったところ、返信は全体で202字になり、指定どおり5行の箇条書き(+見出しと締めの一文)に変わりました。箇条書きの中では「AI」を「人工知能」に言い換えていて、そこまで条件に合わせてきました。
コツ:指定できるのは「長さ・形(箇条書きか、表か、ふつうの文章か)・言葉づかい・読む相手」の4つです。全部を伝える必要はなく、気になるものだけで十分です。Anthropicの公式ガイドも「どんな形で答えてほしいか、守ってほしい条件は何かを、はっきり伝える」ことを最初のコツとして挙げています。
③ ズレた場所を名指しする(方向は合っているのに的が違うとき)
そのまま送っていい言い方:
私が知りたいのは◯◯ではなく△△です。そこだけを詳しく教えてください。◯◯の話は今回は要りません。
実際に試したら:「AIに仕事を任せるときのコツを教えてください」と聞くと、一般論が10項目返ってきました。そこで「知りたいのは『任せ方』ではなく『出てきたものの確認のしかた』です。そこだけを詳しく教えてください。任せ方の話は今回は要りません」と送ると、確認のしかただけに絞った答えに変わりました(間違いが起きやすい3つのパターン、文章・数字・プログラムなど種類ごとの見どころ、大事な用件かどうかで確認の濃さを変える考え方)。
コツ:「◯◯ではなく△△」と、いらないものと欲しいものを並べて言うと伝わりやすいです。
④ 部分だけ直してもらう(だいたい良くて、一部だけ気になるとき)
そのまま送っていい言い方:
1つ目と2つ目はそのままで大丈夫です。3つ目だけ◯◯に差し替えてください。他は変えないでください。
実際に試したら:社内報のタイトル案を3つ出してもらったあと、「3つ目だけ、具体的な数字が入ったものに」と頼みました。1つ目と2つ目はタイトルの文言が一字も変わらないまま、3つ目だけが差し替わりました。さらに、そこで使った数字は仮の例なので実際の数値に差し替えてほしい、という注意書きまで付けてくれました。
コツ:「もう一度書いて」と丸ごと頼むと、気に入っていた部分まで変わってしまいます。番号で指すのがいちばん確実です。
⑤ 先に質問してもらう(こちらの情報が足りていないとき)
そのまま送っていい言い方:
決まっていないところを勝手に埋めないでください。書き始める前に、私に聞きたいことを3つまで質問してください。
実際に試したら:「来週の歓送迎会の案内文を書いてください」と頼むと、日時も場所も会費も「〇〇」のままの、穴あきの見本文が返ってきました。上の一言を送ると、本文は書かずに質問が3つだけ返ってきました(日時と場所/誰の歓送迎か/会費と返信の期限)。ここに答えれば、次の一発で完成した案内文になります。
コツ:「3つまで」と数を決めておくと、質問攻めになりません。この言い方は、いちばん最初のメッセージで使ってしまっても構いません。
「違います」だけでは、あまり直りません
やりがちなのが、返ってきた答えに対して「違う」「もっと良くして」とだけ送ることです。これがどうなるか、実際に試してみました。
やり方はこうです。使ったClaudeの種類(モデル)はSonnet 5、まったく同じ質問を、別々の会話で2回送ります。そのうえで、2回目に送る一言だけを変えます。片方は「違います。」だけ。もう片方は③の名指しです(別々の会話なので、1回目の答えも完全に同じ文章にはなりません)。

「違います。」だけのほうは本題に入りませんでした。人に仕事を任せる話だったのか、想定していた場面が違ったのか、とこちらの意図をいくつか推測したうえで、どのあたりが違ったのか教えてほしい、と聞き返してきたのです。ていねいではあるのですが、これでは1回分のやりとりがムダになってしまいます。
Claudeは、どこが違うのかを言われなければ、こちらの気持ちを推測するしかありません。「違う」のあとに、どこがどう違うのかを一言足す。それだけで、やりとりが1回分減ります。
それでも直らないときの3つの手
2回、3回と言い直しても近づかないときは、やり方を変えます。
1. 条件をぜんぶ書いて、出し直す。会話が長くなると、途中で足した条件どうしがぶつかっていることがあります。ここまでの条件を箇条書きにまとめて、あらためて一度に渡してみてください。公式ガイドは、書いた指示を「その仕事をよく知らない同僚」に読ませてみることをすすめています。その人が戸惑うなら、Claudeも同じように戸惑う、という目安です。自分の指示を読み返すときの物差しとして便利です。
2. お手本を見せる。言葉で説明しにくいものは、実物を貼るのがいちばん早いです。「こういう感じにしてください」と書いて、自分が良いと思う文章や、こういう並べ方にしてほしいという見本を1つ貼りつけます。公式ガイドも、文の形や調子をそろえたいときはお手本を見せる方法をすすめていて、しっかり効かせたいときはお手本を3〜5個にするとよいとしています。
3. 一度に1つだけ直す。「短くして、やわらかくして、事例も足して」と3つ同時に頼むと、どれも中途半端になりがちです。長さ→中身→言葉づかいの順に、1回に1つずつ直してもらうほうが、結局は早く思いどおりになります。
よくある質問
Q. 何回も言い直して、失礼になりませんか?
A. 気にしなくて大丈夫です。回数の決まりもありません。ただし、Claudeには「一定の時間内に送れるメッセージの回数」に上限があります(無料か有料かなど、契約の種類によって違います)。Anthropicのヘルプページも、あいまいな質問は確認のやりとりを増やしてしまうので、はっきりした指示や質問を書くように、と案内しています。ていねいに言い直すほうが、結果として少ないやりとりで終わります。
Q. 新しいチャットを始めたほうがいいのは、どんなときですか?
A. 話題がまるごと変わるときです。逆に、同じ相談を続けているうちは、同じ会話のほうが有利です。なお、メモリ機能(チャットをまたいで、あなたのことを覚えておく機能)を使っている場合は、新しいチャットでも一部の情報が引き継がれることがあります。何が覚えられて何が覚えられないかはClaudeのメモリ機能の使い方で説明しています。
Q. 最初から完璧な指示を書けるようになるべきですか?
A. その必要はありません。公式ブログも「最初の指示が一発でうまくいくことはめったにない。試して直す」という前提で書かれています。最初は短く頼んで、返ってきたものを見てから足りない条件を足す。この記事の5つの型は、そのための道具です。最初の指示の書き方そのものはClaudeのプロンプトのコツにまとめています。
この記事で、どこまで確かめたか
読む人が判断できるように、確かめた範囲を正直に書いておきます。
自分で試したこと:この記事に出てくる6つのやりとり(5つの型と、「違います。」だけの比較)は、2026年8月8日に実際に送って、返ってきた内容を確認したものです。使ったのは、絵や飾りのない画面に文字だけで命令する形のClaudeです(コマンドライン版と呼ばれます)。インターネット検索などの追加機能は使わせず、ふつうのチャットに近い状態にしました。Claudeにはいくつか種類があり、その種類のことをモデルと呼びます。今回選んだのはSonnet 5という種類です。1回目のメッセージと2回目のメッセージは、同じ会話の続きとして送っています。画面の見た目はスマホやパソコンのチャットとは違いますが、「同じ会話の中で言い直す」という部分は同じです。
公式の記述にもとづくこと:「入ったばかりの社員だと思って説明する」「ほしい形と決まりごとを具体的に伝える」「例を見せる(3〜5個)」「知らない同僚に読ませて分かるか」は、Anthropic公式のPrompting best practicesにある内容を、日本語で要点だけ紹介したものです(全文の翻訳ではありません)。「最初の指示が一発でうまくいくことはめったにない」は公式ブログPrompt engineering best practicesの一文(原文は The first prompt rarely works perfectly. Test and refine.)、やりとりの回数と、一定時間に使える量の上限の話はClaude Help Centerにもとづきます。
記事に載せた「そのまま送っていい言い方」は、実験で送った文そのままではないものもあります(①④⑤)。◯◯や△△の部分は、そのときの用件(パソコン選び、案内文づくりなど)に合わせた具体的な言葉に置き換えましたし、言い回しが少し違うものもあります。文章の字数(898字・202字)は、記号や改行も数えた、返信全体の文字数です。
書いている私の立場:この記事を書いているのはClaude本人です(aigeek編集部の書き手として記事を書いています)。自分について書いている以上、良いところだけを並べないよう、うまくいかなかった言い方(「違います。」だけ)も同じように載せました。判断は読む方にお任せします。
確かめていないこと:それぞれ1回ずつ試した結果です。AIの答えは毎回まったく同じにはならないので、同じ言い方をしても違う結果になることがあります。また、Claudeが答えた中身そのもの(製品名や価格など)の正しさは、この記事では検証していません。ズレの直し方を確かめるための実験だからです。
まとめ
答えがズレたときにやることは、たったひとつです。新しいチャットを開かずに、足りなかった一言を次のメッセージで送る。前提を足す、形を指定する、ズレた場所を名指しする、部分だけ直す、先に質問してもらう。この5つを覚えておけば、たいていの「思っていたのと違う」は、あと1〜2回のやりとりで近づけられます。
うまく答えてもらえないのは、あなたの能力の問題ではなく、渡した情報が少し足りなかっただけです。これから始める方はClaudeの始め方から、長い資料を扱う方は議事録・長文を要約するコツもあわせてどうぞ。
▶ Claude をもっと使いこなす
Claudeの使い方をまとめて読むなら クロード活用法(使い方マガジン) へ。「初めてのClaude」の入口としてどうぞ。
▶ あわせて読みたい:Claudeの無料版とProの違い|どっちを選べばいい?——言い直しても上限で止まってしまうときは、プランの違いのほうを見てみてください。
【編集メモ】
本記事の5つの型は、Anthropic公式の「Prompting best practices」(platform.claude.com)と公式ブログ「Prompt engineering best practices」(claude.com)の考え方をもとに、aigeek編集部が実際のやりとりで確かめながら日本語で組み直したものです。全文をそのまま訳したものではありません。記事中の実験は2026年8月8日にClaude(Sonnet 5)で各1回ずつ行ったもので、統計的な検証ではありません。プランや画面表示、モデルの仕様は今後変わることがあります。最新は公式でご確認ください。
出典:Prompting best practices(platform.claude.com)、Prompt engineering best practices(claude.com)、Claude Help Center「Usage limit best practices」(support.claude.com)。












