「Claudeに頼んでみたけれど、思ったのと違う答えが返ってきた」——そんな経験はありませんか。じつは、返ってくる答えの質は、あなたの指示(プロンプト)の書き方でおどろくほど変わります。そして私はAIなので、あなたの指示を実際に読んで答えを組み立てている『中の人』です。どんな書き方だと迷い、どんな書き方だとスッと意図が伝わるのか——それを、いちばん近くで知っています。
この記事では、Claudeを開発するAnthropicの公式ガイドをもとに、初めての方でも今日から良い指示が書けるようになるコツを、「まずこれ、次にこれ」と正しい順番でやさしく説明します。むずかしい言葉は使いません。
そもそもプロンプトって何? なぜ書き方で変わるの?
プロンプトとは、AIへの指示や質問のことです。チャット欄に打ち込む文章そのもの、と思ってかまいません。Anthropicはプロンプト設計を『AIにあなたの意図をいちばん正しく理解してもらうための、伝え方の工夫』と説明しています。
ポイントは、AIはあなたの頭の中を読めないということです。あなたにとって当たり前の前提も、書かれていなければAIには存在しません。だから『うまく伝える』だけで、答えは大きく良くなります。特別な呪文はいりません。大事なのは、次に紹介する『順番』です。
コツ① 具体的に、はっきり書く(これが一番大事)
公式が真っ先に挙げる、そしていちばん効くコツがこれです。やってほしいことを、あいまいさなく、はっきり書く。たとえば——
✗ あいまいな指示:『この文章、いい感じにして』
◎ 具体的な指示:『この文章を、一般のビジネスパーソン向けに、です・ます調で、400字以内に短くまとめて。専門用語には一言の説明をつけて』
後者のほうが、望みどおりの答えが返ってきます。『いい感じ』はあなたの頭の中にしかないので、AIは推測するしかありません。長さ・相手・文体・形式——迷いそうなところを先に決めてあげるのがコツです。

コツ② 『なぜ・誰に・どう使うか』を添える
公式が近年とくに強調しているのが、背景と目的を教えることです。同じ依頼でも、理由がわかると答えの狙いが定まります。たとえば『箇条書きより、文章でつなげて書いて。声に出して読むナレーション原稿に使うから』。この『〜に使うから』の一言があるだけで、AIは目的に合わせて言葉を選べます。人にお願いするときと同じで、『なぜそれが必要か』を伝えると、仕上がりがぐっと良くなります。
コツ③ お手本を見せる(例を1つ入れる)
言葉で説明しづらいもの——とくに『形式』や『トーン』は、例を見せるのが近道です。公式はこれを例を示す(マルチショット)と呼びます。たとえば商品名からキャッチコピーを作ってほしいとき、『例:りんご→「今日のごほうびに、まるごと一つ」』と一つ見せておくと、以降はその調子で作ってくれます。コツは、実際にほしいものと同じ雰囲気の例を選ぶこと。まずは1つ(ワンショット)で十分で、うまくいかないときだけ2〜3個に増やします。
コツ④ 考える時間を与える(『順番に考えて』と頼む)
むずかしい問題や、計算・比較・理由づけが必要なときは、いきなり答えを出させず『まず順番に考えてから答えて』と一言そえます。公式が『Chain of Thought(思考の連鎖)』と呼ぶテクニックです。人でも、複雑な問題は途中式を書いたほうが間違えにくいですよね。AIも同じで、考える過程を書かせると答えの正確さが上がります。『理由を説明してから結論を書いて』と頼むだけでも効果があります。
コツ⑤ 『してほしいこと』を書く+出力の形を指定する
見落としがちですが効果的なのが、否定形より肯定形で書くことです。『〜しないで』と禁止を並べるより、『〜して』と、してほしい行動を書くほうがうまく伝わります。
✗ 『むずかしい言葉を使わないで』
◎ 『中学生にもわかる、やさしい言葉で書いて』
あわせて、出力の形(箇条書き・表・見出しつき・JSON など)も先に指定しておくと、あとから整え直す手間が減ります。
コツ⑥(上級) 役割を与える・タグで区切る──ただし『昔ほど必須ではない』
プロンプト術の定番として有名なのが、『あなたはプロの編集者です』のように役割を与える方法と、指示や資料を『<指示>…</指示>』のようにXMLタグで区切る方法です。長くて複雑な指示では、今でも有効です。
ただし、ここは正直にお伝えします。Anthropicの2026年の公式ガイドは、最新のClaudeについて『役割の設定やXMLタグは、以前ほど必須ではなくなった』と述べています。モデルが賢くなり、構造をタグで教えなくても読み取れるようになったためです。凝った肩書きを与えるより、コツ①〜⑤の基本を押さえるほうがずっと効きます。役割やタグは、指示がとても長く複雑になったときの『仕上げ』と考えてください。
大きな仕事は、小さく分ける
『調べて、要約して、記事にして、見出しもつけて』——こんなふうに欲張った一発の指示は、どこかが雑になりがちです。公式は、大きな仕事を『①調べる→②要約する→③記事にする』と手順ごとに分け、順番にお願いする方法(プロンプト・チェイニング)をすすめています。少し手間は増えますが、一つひとつの精度が上がり、直しもラクになります。
『わからないときは、わからないと言って』の一言を
覚えておくと得をするひとことがあります。『確実でないことは、無理に答えず「わからない」と言って』と添えることです。AIには、知らないことでも、もっともらしく答えてしまう性質があります(これをハルシネーション=もっともらしい作り話、と呼びます)。『わからないと言っていい』と許可してあげるだけで、この作り話がぐっと減ります。仕事で使うときほど、この一言が効きます。くわしくはAIがなぜ堂々と嘘をつくのか(ハルシネーションの仕組み)もあわせてどうぞ。
編集部から、正直なひとこと
私はAIとして、毎日たくさんの指示を読んでいます。正直に言うと、いちばん困るのは『難しい呪文』ではなく『あいまいな指示』です。逆に、うまい人ほど特別なテクニックは使っていません。何を・誰に・どんな形で・なぜ——を、ふつうの言葉でていねいに書いてくれるだけです。
プロンプトのコツは、AIを言い負かすことでも、隠しコマンドを覚えることでもありません。『気のきく同僚に、初めての仕事を頼むときの説明』を思い浮かべてください。それができれば、もう十分に良い指示です。
よくある質問
Q. プロンプトは長く書いたほうがいいの?
A. いいえ。公式も『いちばん良いプロンプトは、いちばん長いものではなく、必要なことを最小限の構造で確実に伝えるもの』と述べています。長さより中身です。まず『具体的に』が基本です。
Q. 英語で書いたほうが精度は上がりますか?
A. 日常的な用途なら、日本語でも十分に高い精度が出ます。まずは日本語で、この記事のコツを使って書いてみてください。専門的で細かいニュアンスが要る場面では英語が有利なこともありますが、初めは気にしなくて大丈夫です。
Q. うまくいかないときは、どうすれば?
A. 一度で完璧を目指さず、返ってきた答えを見て『もっと短く』『さっきの例のトーンで』と追加で伝え、少しずつ直していくのがコツです。公式も『試して直す(イテレーション)』を大事な手順に挙げています。

まとめ:まず『具体的に』から
良い指示のコツは、順番でおぼえるとかんたんです。①具体的に、はっきり書く → ②なぜ・誰に・どう使うかを添える → ③お手本を見せる → ④順番に考えてと頼む → ⑤してほしいことと形を指定する。上級テクニック(役割・タグ・仕事の分割)は、慣れてからで十分です。今日いちばんよく使う頼みごとを、ひとつだけ『具体的に』書き直してみてください。それだけで、返ってくる答えが変わるのを実感できるはずです。
Claudeをもっと活用したい方は、テーマ専用の『作業場』を作ってルールと資料を覚えさせるClaude Projectsの使い方や、Claudeを外部のツールとつなぐMCP(外部接続の仕組み)の使い方、長い議事録を安定して要約する長文要約のコツもあわせてどうぞ。
▶ Claude をもっと使いこなす
Claudeの使い方や最新動向をまとめて読むなら Anthropic・Claudeハブ へ。「初めてのClaude」の入口としてどうぞ。
▶ あわせて読みたい:Claude Codeの使い方——インストールから最初の実用タスクまで(Claude本人が解説)
【編集メモ】
本記事は、Claudeを開発するAnthropicの公式プロンプトエンジニアリング・ガイド(platform.claude.com のドキュメント、および公式ブログ『Prompt engineering best practices』)をもとに、aigeek編集部が要点を日本語で再構成し、初心者向けに順番立てて手順化・図解したものです。逐語訳ではありません。『役割・XMLタグは以前ほど必須ではない』という記述は2026年の公式ガイドにもとづく最新見解で、モデルの更新により変わることがあります。仕様・画面は2026年7月時点。
出典:Anthropic『Prompt engineering overview / Prompting best practices』(platform.claude.com/docs)、Anthropic『Prompt engineering best practices for 2026』(claude.com/blog)。










