宇宙にひとり取り残された整備士と、船のAIが、手元にある物だけで故障をひとつずつ直しながら地球へ帰る連続動画『ふたりで、帰る』。この記事は第8話の紹介です。本編は下の動画(1分45秒)で見られます。
あらすじ(第8話)
太陽の嵐が過ぎ、三村は壁にしていた水の袋をタンクへ戻しています。その途中で、袋のひとつが角に引っかかって破けました。こぼれた水は下に落ちず、丸い玉になって船の中に浮かびます。
船のAI・エビは言います。「そして、風に運ばれています」。電池の箱を冷やしているファンが空気を吸っていて、水の玉はそちらへ流れていきます。電池の箱に水が入れば、船の電気が落ちるかもしれません。
三村は「ファンを止めろ」と言います。けれどファンを止めると、今度は電池が熱くなります。止めていられるのは少しのあいだだけです。大きな玉は空の食料パックで包みこみ、小さな粒は作業服の袖で吸い取ります。最後の一粒は、電池の箱のすぐ手前にありました。
見どころ:宇宙では、こぼれた水が「飛んでいく」
地上でこぼれた水は床に落ちます。重さがほとんど効かない宇宙船の中では、水は表面張力で丸くまとまって浮かび、さわった所にくっつきます。そして、空気の流れに乗って動きます。
これは作り話の中だけの心配ではありません。国際宇宙ステーションのトイレの区画では、使ったときに少しの水が浮かぶことがあり、機器のファンの風でそれが区画の外へ出ることがあります。NASAは、浮かんだ水滴が風でどう運ばれるかを計算し、電子機器のある隣の棚に届く確率を見積もっています。第8話は、その心配が小さな船の中で起きる回です。
最後に、三村が「明日の噴射の向きは?」と聞くと、エビの返事が少し遅れます。その理由は次の回で描きます。
この動画について
この物語はフィクションです。映像と画像はAIで生成し、図は自分たちで作っています。声は三村がElevenLabs、エビがVOICEVOX(剣崎雌雄)です。音楽はSunoで作りました。台詞で言っている理屈は、次の資料で確かめました。
- NASA「STEMonstrations: Surface Tension」:国際宇宙ステーションでは、表面張力のはたらきが地上よりずっとはっきり出る。液体は容器の壁にくっつく
- NASA技術報告「CFD Model of Water Droplet Transport for ISS Hygiene Activity」(NTRS 20110024044):機器のファンの風で、少量の水がトイレの区画の外へ出ることがある。水滴が風で運ばれる道すじを計算し、電子機器のある隣の棚へ届く確率を予測した









