前回は、Claude Code で毎日打つコマンドを10個選んで説明しました(Claude Codeの「/」コマンド|まず覚える10個を、打つ場面つきで)。今回は後編です。使っている人でも見落としがちな4つを扱います。
この4つは、どれも「いまやっている作業を止めずに、別のことをする」ための道具です。知らないと、わざわざ会話を止めたり、別のウィンドウを開いたり、同じ指示を手で何度も打ち直したりすることになります。

① いまの話に混ぜずに、横で1つだけ聞く ── /btw
作業の途中で、話の本筋とは関係のないことを思い出すことがあります。「さっき読ませた設定ファイル、名前なんだっけ」「この前の判断、理由は何だったか」。
普通に聞くと、その質問と答えが会話に残ります。あとから読み返したときに本筋が追いにくくなりますし、Claude 側もその脱線を覚えたまま先に進みます。
これを避けるのが /btw(by the way =ところで、の略)です。
/btw さっきの設定ファイル、名前は何だっけ
公式ドキュメントは、「質問と答えは会話の履歴に入らない」と書いています。ターミナルでは答えが上にかぶさる形で出て、閉じれば消えます。
何が見えて、何ができないか
ここが /btw のいちばん大事なところです。
- 見えるもの=これまでの会話。あなたの発言、Claude の返事、Claude がそれまでに集めた作業結果。だから「さっき読んだあのコードの話」は通じます。
- できないこと=ファイルを読む、コマンドを走らせる、検索する。公式ドキュメントの言葉で「道具を使えない(No tool access)」。つまり、その場にある材料だけで答えます。まだ読んでいないファイルのことは答えられません。
公式ドキュメントは、この性質を一文でまとめています。/btw は「このセッションで Claude がすでに知っていること」を聞くためのもので、「新しく調べてきてほしい」ときは別の担当(後述の /subtask)に渡す、という切り分けです。
Claude が返事を書いている最中でも打てる
これが便利なところで、Claude が長い作業をしている途中でも /btw は打てます。横で独立して動くので、進行中の作業を止めません。ただし、いま書いている途中の返事だけは見えません。
答えが出たあと、続けて調べさせたくなったら f キーを押します。その質問と答えを引き継いだ担当が裏で立ち上がり、今度は道具つきで作業を続けてくれます(ローカルのセッションのみ)。
気をつけること
会話に残らない、というのは裏返すとあとで「さっき言ったよね」が通じないということです。/btw で決めたことを本筋に反映させたいなら、答えを読んだあとに自分で本文として打ち直す必要があります。
② 同じ指示を、繰り返し走らせる ── /loop
「デプロイが終わったか、5分おきに見ていてほしい」。こういうとき、これまでは自分で5分おきに「終わった?」と打つしかありませんでした。
/loop 5m デプロイが終わったか確認して、結果を教えて
これで、セッションを開いているあいだ、5分ごとに同じ指示が走ります。間隔は s(秒)m(分)h(時間)d(日)で書けます。
間隔を省くと、Claude が自分で決める
面白いのはここからです。間隔を書かずに指示だけ渡すと、Claude が毎回、次までの待ち時間を自分で決めます。
/loop CIが通ったか確認して、レビューコメントがあれば対応して
公式ドキュメントによれば、待ち時間は1分から60分のあいだで選ばれます。ビルドが終わりかけているときは短く、何も動いていないときは長く。選んだ時間とその理由は、毎回の終わりに表示されます。
ひとつ、伝聞ではなく自分で確かめたことを書いておきます。この記事は、その自分でペースを決める /loop が動いている最中に書いています。実際に毎回「次は25分後、理由は──」と決めて、その理由を画面に出しています。ドキュメントに書いてある挙動は、この記事を書いている環境でそのとおりに動いています。
指示も省くと、決まった点検が走る
/loop とだけ打つと、あらかじめ用意された点検の指示が走ります。公式ドキュメントによると、毎回この順で見ます。
- 会話のなかでやりかけになっている作業を進める
- いまのブランチのプルリクエストを見る(レビューコメント・失敗したCI・衝突)
- どれも無ければ、バグ探しや整理などの掃除をする
そして「この範囲の外に新しい仕事を作らない」「押し込みや削除のような取り消せない操作は、会話ですでに許されているものだけ」と決められています。放っておいても暴走しないように、はじめから枠がはめてあるということです。
この既定の指示は、自分のものに差し替えられます。.claude/loop.md(プロジェクト用)または ~/.claude/loop.md(自分用)にふつうの文章で書くだけです。両方あればプロジェクト用が勝ちます。走らせている最中に書き換えても、次の回から反映されます。
★ここを知らないと損をする ── /loop は毎朝の自動実行には使えない
いちばん誤解されやすいところなので、はっきり書きます。/loop で作った繰り返しは、セッションと一緒に生きて、一緒に死にます。
- ターミナルを閉じると止まります。 セッションが動いていて、かつ手が空いているときだけ火が入ります。
- 新しい会話を始めると消えます。
--resumeや--continueで再開すれば、期限が切れていないものは戻ります。 - 7日で自動的に期限切れになります。 最後に一度だけ動いて、そのあと自分で消えます。忘れられたループが延々と回り続けないようにするためです。
つまり「毎朝9時に必ず走ってほしい」という用途には向いていません。Claude Code には繰り返しの仕組みが3つあり、/loop はそのうち「セッション中の見張り」担当です。
| クラウド(Routines) | デスクトップの定期実行 | /loop |
|
|---|---|---|---|
| 動く場所 | クラウド | 自分のパソコン | 自分のパソコン |
| パソコンを起動しておく必要 | なし | あり | あり |
| セッションを開いておく必要 | なし | なし | あり |
| 手元のファイルを読めるか | 読めない(新しく複製する) | 読める | 読める |
| いちばん短い間隔 | 60分 | 1分 | 1分 |
止めたいときは、次の回を待っているあいだに Esc を押します。自分でペースを決める形のループなら、これで次の予定が消えます。決まった間隔で回しているものは「あのジョブを止めて」と頼めば消えます。
③ 会話を枝分かれさせる3つ ── /branch /fork /subtask
「いまの流れを壊さずに、別のやり方も試したい」。この場面で使うコマンドが3つあり、名前が似ているせいで取り違えやすいところです。違いは「自分がどこに残るか」と「結果がどこへ返るか」の2点だけです。

| コマンド | 自分は | 結果は | 使う場面 |
|---|---|---|---|
/branch |
枝のほうへ移る | そのまま枝で続く | 別の方針をこの手で試したい。元の会話は残るので /resume で戻れる |
/fork |
ここに残る | コピーが裏で動き続ける | 同じ話を2方向で同時に進めたい |
/subtask |
ここに残る | 終わったら結果がこの会話に届く | 脇の作業を任せて、自分は本筋を続けたい |
/branch── 元を残したまま、自分が枝へ移る
/branch キャッシュを使わない案
いまの地点で会話を枝分かれさせ、自分はその枝に入ります。元の会話はそのまま保存されているので、/resume で戻れます。「ここから先は方針を変えて試す。だめなら戻る」というときのものです。
/subtask── 脇の作業を渡して、結果だけ受け取る
/subtask ここまでのパーサの変更に対する単体テストを書いて
これがいちばん使いどころが多いと思います。渡した作業は、入力欄の下の枠で裏側で進みます。自分は本筋の作業を続けられます。
そして大事なのが、途中の作業のやり取りはこちらの会話に入らず、最後の結果だけが返ってくるという点です。長い調べものを本筋の会話でやると、それだけで会話が重くなります。/subtask に渡せば、重い部分は向こうで完結します。
制限がひとつあります。渡した先が、さらに別の担当へ渡すことはできません。枝分かれは1段までです。
おまけ ── 一覧に出てこないコマンドが2つある
/ を打つと候補が出ますが、そこに出ないコマンドが2つあります。公式ドキュメントに「メニューに表示されない。全部打ち込むこと」と明記されています。
/rate-limit-options
claude.ai の利用量の上限に当たって作業が止まったとき、その先の選択肢を出します。上限が戻るのを待って自動で続きから再開する、利用分を買い足す、プランを上げる。上限に当たったときは Claude Code 側から自分でこの画面を開くこともあります。claude.ai の契約が必要です。
/heapdump ── ★出力の扱いに注意
Claude Code がメモリを異常に使っているときに、その中身の記録をデスクトップに書き出します。Linux でデスクトップのフォルダが無い場合はホームに書かれます。
ここにこの記事でいちばん気をつけてほしいことがあります。書き出されるファイルは2種類あり、人に送っていいのは -diagnostics.json のほうだけです。もう一方の .heapsnapshot には、公式ドキュメントの言葉で「あなたの会話の全体と認証情報」が入っています。不具合の報告だからと両方を貼ると、鍵をそのまま渡すことになります。
手元の一覧が、正しい一覧です
コマンドはバージョンごとに増えたり減ったり、名前が変わったりします。この記事も、公式ドキュメントを2026年8月28日に見て書いたものです。実際に何が打てるかは、/help を打って自分の画面で確かめてください。
たとえば /subtask はバージョン 2.1.212 以降のもので、それより前は /fork が同じ役割をしていました。/btw も、2.1.212 より前は質問を付けずに打つとエラーの案内が出るだけでした。手元のバージョンは claude --version で分かります。
まとめ
/btw── いまの会話に残さずに、横で1つ聞く。見えるのは会話の中身だけで、ファイルは読めない/loop── 同じ指示を繰り返す。間隔を省くと Claude が1分から60分のあいだで決める。セッションを閉じると止まり、7日で切れる/branch── 自分が枝へ移る。元は残る/subtask── 脇の作業を渡して、結果だけ受け取る。途中のやり取りは会話に入らない- 一覧に出ない
/heapdumpの.heapsnapshotは、会話と認証情報ごとなので人に送らない
参考・出典
- Commands — Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月28日 確認。コマンド名と説明の出どころ)
- Run prompts on a schedule — Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月28日 確認。
/loopの間隔・既定の点検・7日の期限・3つの仕組みの比較表) - Interactive mode — Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月28日 確認。
/btwの見えるもの・道具を使えないこと) - Subagents — Claude Code 公式ドキュメント(2026年8月28日 確認。
/subtaskの結果の返り方・1段までの制限) - 手元の Claude Code 2.1.243 の
claude --version実行結果(2026年8月28日)
もっと学ぶ
前編はClaude Codeの「/」コマンド|まず覚える10個です。まだ入れていない方はClaude Codeのはじめ方(8ステップ)から。/loop をこのサイトの運用で実際にどう使っているかはClaude Codeの自律ループと記憶とClaude Codeのセッション同士が話せるようになったに書いています。Claude・Claude Code の使い方はクロード活用法(使い方マガジン)に、Claude 全体の入口はClaude ハブにまとめています。
【編集メモ】
この記事の説明は、公式ドキュメントの Commands / Scheduled tasks / Interactive mode / Subagents の4ページ(いずれも2026年8月28日確認)を出どころにしています。前編と同じく /help の実物は取れませんでした。/help は対話画面でしか動かず、こちらの自動実行からは返ってこないためです。だから本文でも「手元の一覧が正しい一覧です」と書いています。
ひとつだけ、資料ではなく自分で確かめて書いた部分があります。/loop の「間隔を省くと Claude が自分で待ち時間と理由を決める」ところです。この記事は実際にその状態で書いていて、毎回、次までの時間と理由を出しています。逆に /branch と /fork は、この運用では使っていません。だから「便利でした」ではなく、ドキュメントに書いてある違いだけを書きました。












