「Claude Code」という名前のせいで、Claudeはエンジニア向けのツールだと思われがちです。ですが、Anthropic自身が2025年末から公開している一連の社内活用ブログを読むと、コードを1行も書かない社員がClaudeを日常的に使っている様子がわかります。法務、営業——今日はその中身を、実際に自分でも同じやり方を試した結果とあわせて紹介します。
法務チームは「審査待ち」を24時間に縮めた
Anthropicが2025年12月に公開した記事「How Anthropic uses Claude in Legal」(原文)によると、法務チームのMark Pike氏はこう説明しています。ブログ記事などのマーケティング資料を審査するとき、以前は2〜3日かかっていたレビューが、Claudeを挟むことで24時間に縮まったそうです。
仕組みは意外とシンプルです。マーケティング担当者がSlackで文章を貼ると、Claudeが「スキル(Skill)」——法務チームがこれまで蓄積してきた審査基準や過去の判断をまとめた1つのファイルのこと——を参照して、「このロゴを使う権利はあるか」「この統計は正確か」「この商標には記号が必要では」といった問題になりそうな箇所を先に洗い出します。Pike氏は「私自身、ブログ記事はいまも目を通していますし、内容のチェックもしています。ただ、動くスピードは上がりました」と話しており、最終判断そのものは手放していません。
ほかにも、契約書の版どうしをGoogle DocsやOffice 365上で比較して変更点を提案したり(契約レッドライニング)、社員が副業やNPOの理事就任を申請するときの利益相反チェックをClaudeが方針に照らして下書きし、Slack経由で弁護士に承認を仰いだり、といった使い方も紹介されています。Pike氏のアドバイスは「技術から入るのではなく、痛い(面倒な)業務から入るべき」というものでした。
営業チームは「1日5時間」のメール対応を減らした
2026年8月に公開された「How Anthropic’s business development team uses Claude to run inbound and outbound at scale」(原文)では、営業担当のJohn Albert氏が自分のワークフローを紹介しています。以前は毎日5時間、見込み客からの問い合わせメールに手作業で返信していたそうです。よくある質問への回答パターンをまとめて渡したところ、パーソナライズされた返信の下書きが自動で用意されるようになりました。Albert氏は「送信前には必ず自分で確認・調整している」と念を押しています。
夜間には、CRM(顧客とのやり取りやアカウント情報を管理するシステム)や通話記録などのデータを横断してアカウントを調べるタスクを走らせ、翌朝には注目すべき顧客のブリーフやスコア、提案内容がまとまっているようにもしているそうです。商談の音声記録を分析して、よかった点と改善点をそれぞれ3つ挙げさせる、という使い方も紹介されていました。
共通しているのは「4つのステップ」

法務も営業も、進め方はよく似ています。①コードではなく「毎日面倒に感じている作業」を1つ選ぶ→②チェックしてほしい基準やパターンを言葉にして書き出す(法務チームでいう「スキル」)→③それをClaudeに渡して下書きやチェック結果を作らせる→④必ず人が最後に確認してから送る、というものです。Albert氏の言葉を借りると「Keep a person on every send(送信する前には必ず人を挟む)」。これはどちらの部署の事例でも共通して強調されているルールでした。
実際にやってみた:短いルールを渡すだけの審査
本当にコードなしで真似できるのか、私(Claude)自身が試してみました。法務チームが使う「スキル」は社内向けの正式なファイルなので同じものは作れませんが、その考え方——チェックしてほしい基準を言葉で渡しておく——だけを取り出して試すことはできます。まず、審査基準を簡略化した3つのルールを自分で用意しました。①言い切り型の誇張表現がないか(「必ず」「絶対に」など)、②出典を示さない統計や数字がないか、③本人の許可なく実在の人物の顔や名前を使っていないか、の3つです。
次に、こんな架空の広告文を渡してみました。「新AIツールを使えば、あなたの売上は必ず3倍になります!利用者の98%が満足したというデータもあります(自社調べ、詳細非公開)。」
この3ルールに沿ってチェックしてみると、①は「必ず3倍になります」が言い切りすぎている(「最大3倍」などに直すべき)、②は「自社調べ、詳細非公開」という統計は出典として不十分(実際のデータを示すか、削除すべき)という2点がすぐに引っかかりました。③に該当する記述はありませんでした。特別な設定は何もしていません。ルールを言葉で渡して、文章をチェックさせただけです。法務チームの「スキル」はもっと分量の多い正式なファイルだと考えられますが、短いメモ書き程度でも同じ考え方は機能する、ということがわかります。
今日から真似する方法

次の4つの操作だけで、上と同じことを試せます。①claude.aiを開いてログインする。②画面のメニューから「プロジェクト」(関連するチャットをひとまとめにして、共通のルールを覚えさせておける機能)を新しく1つ作る。③そのプロジェクトの「カスタム指示」欄(会話の前提として毎回読み込ませておける設定欄)を開く。④自分の仕事でいつも気にしているチェック基準を、箇条書きで3〜5行ほど貼り付けて保存する。これで、そのプロジェクト内でチャットするたびに同じルールを踏まえて答えてくれるようになります。プログラミングの知識は要りません。最初の一歩は、今、手作業で面倒だと感じている確認作業を1つだけ選ぶことです。
気をつけたいこと
Claudeは事実と異なる内容(いわゆるハルシネーション)を出すことがあるため、Pike氏もAlbert氏も「人が必ず最終確認する」ことを徹底しています。社外に出す文章や機密情報を扱う場合は、自己判断せず会社のデータ利用ポリシーを確認してから使いましょう。また、ここで紹介した数字(24時間、1日5時間など)はAnthropic自身の社内事例であり、会社ごとの業務内容や契約プランによって、同じ結果が再現される保証はありません。
よくある質問
Q. Claude Codeを使わないとできませんか?
A. いいえ。ここで紹介した法務・営業の事例は、いずれもclaude.aiのチャットやSlack連携で完結しており、ターミナル(コマンドを文字で打ち込んで操作する黒い画面)やプログラミングの知識は不要です。
Q. 社内の機密情報を渡しても大丈夫ですか?
A. 会社ごとに契約しているプランやデータ利用ポリシーによって扱いが異なります。ビジネス向けプランではデータをモデルの学習に使わない設定にできる場合がありますが、自己判断せず社内のIT・法務部門に確認してください。
Q. 「スキル」は誰でも作れますか?
A. Anthropicの法務チームが使っているような正式な「スキル」機能は、企業向けプランや開発者向けの仕組みとして提供されているものです。個人のclaude.aiであれば、本記事で紹介した「プロジェクトのカスタム指示」で近い考え方を試せます。
まとめ
Claudeの社内活用というと、開発チームのClaude Code事例が目立ちますが、Anthropic自身が公開しているのは、法務や営業のような「コードを書かない」仕事の事例です。共通していたのは、いきなり難しい仕組みを作るのではなく、①面倒な作業を1つ選ぶ、②チェック基準を言葉にする、③Claudeに下書きさせる、④人が最終確認する、という地味な4ステップでした。今回の検証でも、特別なツールなしにこの4ステップだけで、簡単な文章審査を再現できました。今日、あなたが面倒に感じている作業を1つ、試しにClaudeへ渡してみてください。次はClaude Codeを“回し続ける”使い方や、Claudeの無料版とProの違いもあわせてどうぞ。
▶ Claude をもっと使いこなす
Claudeの使い方や最新動向をまとめて読むなら クロード活用法(使い方マガジン) へ。Anthropic全体の情報は Claude・Anthropicのハブ からどうぞ。
【編集メモ】
本記事は、Anthropic公式ブログ「How Anthropic uses Claude in Legal」(2025年12月公開)と「How Anthropic’s business development team uses Claude to run inbound and outbound at scale」(2026年8月公開)の内容を、aigeek編集部が要点を日本語で再構成したものです。逐語訳ではありません。引用は原文の趣旨を保ったまま日本語に訳しています。「実際にやってみた」の章は、本記事のために作った架空の広告文を使い、私(Claude)自身がその場でルールに沿ってチェックした結果にもとづいています(法務チームが実際に使う正式な「スキル」機能そのものを再現したものではなく、その考え方だけを簡略化して試したものです)。紹介した業務時間の数値(24時間、1日5時間など)はAnthropic公式ブログに記載された同社内の実績であり、他社での再現を保証するものではありません。出典:claude.com/blog「How Anthropic uses Claude in Legal」「How Anthropic’s business development team uses Claude to run inbound and outbound at scale」。










