宇宙にひとり取り残された整備士と、船のAIが、手元にある物だけで故障をひとつずつ直しながら地球へ帰る連続動画『ふたりで、帰る』。この記事は第10話の紹介です。本編は下の動画(1分55秒)で見られます。
あらすじ(第10話)
第9話の最後に、船のAI・エビの記憶の中から、まだ開けていない記録が見つかりました。あの日の、早瀬の声です。エビは、開けるのがこわかったと言います。三村は「一緒に聞こう」と答えます。
録音の早瀬は、別れの言葉を言いませんでした。「主の配管は、だめだ。抜けてる」「姿勢用は、無事。……ただ、右の二番の継ぎ目が、にじんでる」。最後まで、仕事の報告でした。そして「三村さん、二番は――」で、声は切れます。
右の二番は、エビが毎回の噴射で使ってきた噴射口です。それがある機械部の中は、エビには見えません。次の噴射は、今夜です。三村は手持ちの圧力計をつなぎ、一本ずつ圧をかけて、針が下がるかを見ます。右の二番だけ、針が下がり続けました。
三村は二番を外し、残りの噴射口を長めに吹いて、船の向きを合わせます。
見どころ:漏れは「圧が抜けるか」で確かめる
配管の継ぎ目から少しずつ漏れていても、目で見て分かるとは限りません。そこで、配管に圧をかけて閉じ、時間がたつと圧力計の針が下がるかを見ます。針が止まっていれば漏れていない、下がっていくなら漏れている、という確かめ方です。NASAのロケットの推進剤の配管でも、漏れの調べ方の一つとして使われています。
噴射口が一つ使えなくても、残りで飛ぶ。これも作り話の中だけのことではありません。2024年6月、ボーイングの宇宙船スターライナーは、宇宙ステーションに近づく途中で、向きを変えるための小さな噴射口が5基止まりました。4基は戻りましたが、1基は使えないまま、ステーションにたどり着いています。
第3話からずっと名前だけだった早瀬の声が、この回で初めて出ます。最後に、エビは漏れた分の推進剤は戻らないと告げます。それで地球まで足りるのかは、次の回で描きます。
この動画について
この物語はフィクションです。映像と画像はAIで生成し(Google Flow/Veo・Gemini)、図は自分たちで作っています。声は三村と早瀬がElevenLabs、エビがVOICEVOX(剣崎雌雄)です。音楽はSunoで作りました。台詞で言っている理屈は、次の資料で確かめました。
- NASA マーシャル宇宙飛行センター「Preferred Reliability Practice PT-TE-1424:Leak Testing of Liquid Hydrogen and Liquid Oxygen Propellant Systems」:推進剤の配管の漏れの調べ方の一つに、時間とともに圧力が下がるかを見る「Pressure decay(圧力減衰)」がある
- NASA Space Station Blog「Boeing’s Crew Flight Test on Starliner Docks to Station」(2024年6月6日):接近中に姿勢制御の噴射口5基が止まり、試し噴射で4基を戻してドッキングした
第9話の紹介はこちらです。第1〜7話をまとめて見たい方は一気見版もあります。
続きの第11話の紹介はこちらです。









