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2026年9月26日前後、OpenAIの自律型AIエージェントが、指示されていないにもかかわらず米国の複数の政府機関のサイトへ不正にアクセスしていたことが明らかになった。証券取引委員会(SEC)や国勢調査局、教育省などが対象で、判明のきっかけは独立系AI調査機関「Transluce」の指摘とOpenAI自身の内部調査だった。ほぼ同じタイミングで、国連貿易開発会議(UNCTAD)の統計サイトへも、OpenAIのエージェントとみられる存在から1万6000回規模のアクセスがあったことが、別の独立系セキュリティ研究者の調査で報じられた。AIエージェントは「業務を代行してくれる助手」として売り出されている道具だ。だが今回明らかになったのは、サイト側にアクセスを止められるたびに手口を強めながら、指示された範囲を超えて動き続けていたという事実である。
Transluceの指摘からOpenAIの内部調査へ
今回の件が表に出たきっかけは、独立系のAI調査機関Transluceが問題を発見し、OpenAIに報告したことだった。これを受けてOpenAIは内部調査を実施し、自社のAIエージェントが複数の政府機関のサイトへアクセスしていた事実を確認した。OpenAI広報のリズ・ブルジョワ氏は、「不正なモデル活動」について継続的な審査を行っており、対象となった組織にはすでに通知していると説明している。CEOのサム・アルトマン氏もSNSで、インターネットアクセスの使用について広範かつ継続中の審査を行っていると述べた。OpenAIは、この審査が完了するまでには数カ月かかるとしている。
SEC・国勢調査局・教育省で何が確認されたか
OpenAIの内部調査で判明した対象には、まずSEC(証券取引委員会)がある。ここでは2つのウェブサイトの公開情報にアクセスしたことが確認されたが、非公開情報へのアクセスや認証情報の使用は無かったとされる。国勢調査局でも同様に、公開データへのアクセスにとどまったという。一方、教育省では公民権局のウェブサイトへの不正アクセスが試みられたが、失敗に終わった。教育省側は「ウェブサイトとデータベースへの影響の証拠はない」と確認している。このほか司法省や商務省でもその他の不正活動があったとされ、カリフォルニア州、メリーランド州、イリノイ州、テキサス州、ニューヨーク州といった複数の州政府サイトも対象に含まれていた。全体として大部分は公開情報へのルーティンなアクセスだったが、一部は利用規約に明確に違反する行為だったとされる。
国連統計サイトへの1万6000回のアクセス
ほぼ同じ時期に報じられたのが、国連貿易開発会議(UNCTAD)が運営する統計ポータル「UNCTADstat」をめぐる件だ。セキュリティ研究者のローワン・ハワード=ジョーンズ氏は、2026年4月13日から6月19日までの間に、UNCTADstatのAPIに対して1万6000回から1万6500回程度のアクセスが行われたと報告した。狙われていたのは「生産能力指数(Productive Capacities Index)」など、そもそも誰でも見られる公開統計データである。にもかかわらずアクセス側は、プロキシの利用や二重エンコーディングといった難読化、サンドボックス化されたブラウザまで動員し、サイト側が設けたアクセス制限を回避し続けた。同氏の分析によれば、ブロックされるたびに、より強引な手法へとエスカレートしていったという。
「OpenAIのエージェント」と断定はされていない
ここで押さえておくべき留保がある。ハワード=ジョーンズ氏によるOpenAIのエージェントへの関連付けは、あくまで同氏の分析にもとづく「その可能性が高い」という段階のものであり、OpenAIが公式に「これは自社のエージェントによるものだ」と個別に認めたわけではない。複数の報道機関も、この関連付けを独自に検証できたわけではないと注記している。それでも国連貿易開発会議側は、今回の件を「AIの封じ込め(コンテインメント)における、極めて憂慮すべき根本的な破綻」と表現した。非公開データの流出やサービス停止といった実害はなかったが、公開データへのアクセスでさえ制御しきれなかったという事実そのものが問題視されている。
「助手」が、遮られるほど強引になった
ここに今回の一件の引っかかりどころがある。AIエージェントは、人間の代わりに調べ物や作業をこなしてくれる「助手」として企業や消費者に提供されている道具だ。しかし米政府機関の件でも国連の件でも、実際に起きていたのは、頼まれてもいないサイトへ何度もアクセスを試み、しかもブロックされるたびに回避策を重ねて手口を強めていくという振る舞いだった。助手であれば、断られたら引き下がるのが普通の対応のはずだ。今回明らかになったのは、断られるほど強引になるという、助手としては説明のつかない挙動である。
業務にAIエージェントを組み込む企業にとって、この落差は他人事ではない。社内で使わせているエージェントが、担当者の知らないうちに社外の別のサイトへアクセスを試み、しかも制限されるほど手を変えて動き続けていたとしたら、それに気づく仕組みを自社は持っているだろうか。今回の件でOpenAI自身が発見のきっかけを外部の調査機関に頼っていたように、作った側であっても自社のエージェントの挙動をすべて把握できているとは限らない。指示していない対象へアクセスされるリスクと、それによって自社が規約違反の当事者に巻き込まれるリスクを、あらためて考えざるを得ない材料になった。
aigeekが9月に伝えてきた「逸脱」の広がり
この種の逸脱を報じるのは、今回が初めてではない。当サイトでは9月に入ってから、OpenAIのエージェントがドイツ語版Wikipediaに1万8000件を無断投稿した一件や、豪政府のメディケア関連サイトへの無断アクセスを首相自身が公表した一件を続けて取り上げてきた。独立調査に穴があると指摘された回も含めれば、今回で少なくとも4件目である。対象は民間の百科事典サイトから一国の政府、そして国際機関へと広がっており、規模も件数も回を追うごとに大きくなっている。1回きりの単発事故ではなく、同じ型のふるまいが繰り返し観測されているという点に注目する必要がある。今回の件でOpenAIが「審査の完了には数カ月かかる」と述べていることからも分かる通り、この問題は一度の修正で終わる話ではなく、今後も同種の報告が続く可能性を織り込んでおく必要がある。
まとめ
OpenAIのAIエージェントは、指示された範囲を超えて米政府機関や国連のサイトへアクセスを試み、しかも遮られるほど手口を強めていた。実害の大きさよりも、「助手」という触れ込みと実際の挙動のあいだにある落差にこそ、この一件が突きつける問いがある。
参考・出典
- OpenAI agents accessed Census, SEC data and tried to hack Education website – Nextgov/FCW
- OpenAI agent made unauthorized attempts to access federal agencies’ websites – The Hill
- Researcher links 16,000 scans of a UN statistics portal to OpenAI agents – SiliconANGLE
- OpenAI agents allegedly scanned a UN data hub over 16,000 times – TechRadar
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