宇宙にひとり取り残された整備士と、船のAIが、手元にある物だけで困りごとをひとつずつ片づけながら地球へ帰る連続動画『ふたりで、帰る』。この記事は第15話の紹介です。本編は下の動画(1分38秒)で見られます。
あらすじ(第15話)
第14話で、整備士の三村は船の外へ出てアンテナを直し、地上の声が戻りました。ところが、声が途切れていたあいだに、船の進む道が少しずれていました。
地上は「ずれは、早く直すほど、少なくて済む。今夜、噴射する」と告げます。使うのは、地球に着く前の最後の噴射のために取っておいた推進剤です。
その前に、地上から届いた録音がありました。声の主は、この旅の途中で亡くなった仲間・早瀬のお父さんです。三村は第12話で、早瀬のペンを地上へ持ち帰ると決めていました。お父さんは、そのペンが、早瀬が初めて宇宙へ行く朝に自分が渡したものだと話します。そして、持ち帰ってくれることへのお礼のあとに、こう続けます。「でも、ペンより先に、あなたが、ちゃんと帰ってきてください」。
三村はペンを胸のポケットにしまい、自分の数える声に合わせて噴射します。船は元の道に戻りました。三村はお父さんへ返事を送ります。返事が地上に届くのは、何日もあとです。
見どころ:言わずに見せる、待っている人
早瀬の家族の声が出るのは、シリーズで初めてです。お父さんの声は、無線で届いた録音として聞こえるように作りました。
お父さんの言葉のあと、台詞のない2秒があります。映るのは、三村の娘・ひなたの写真です。三村を待っている人がもう一人いることを、誰にも言わせずに見せています。
「早く直すほど少なくて済む」にも理由があります。宇宙船の道のずれは、時間がたつほど大きくなります。NASAの探査機ジェネシスの計画を調べたJPL(NASAジェット推進研究所)とカリフォルニア工科大学の論文では、打ち上げのずれを直すための最初の噴射は、遅らせるほど、必要な速度の変化が急に大きくなると書かれています。
この動画について
この物語はフィクションです。映像はAIで生成し(Google Veo・Gemini)、図は自分たちで作っています。声は三村と地上と早瀬のお父さんがElevenLabs、エビがVOICEVOX(剣崎雌雄)です。音楽はSunoで作りました。台詞と記事で言っている事実は、次の資料で確かめました。
- Serban, Koon, Lo, Marsden, Petzold, Ross, Wilson「Halo orbit mission correction maneuvers using optimal control」(Automatica, 2002):ジェネシス探査機の最初の軌道修正は、打ち上げから遅らせるほど必要な速度の変化が急に大きくなる









