宇宙にひとり取り残された整備士と、船のAIが、手元にある物だけで困りごとをひとつずつ片づけながら地球へ帰る連続動画『ふたりで、帰る』。この記事は第14話の紹介です。本編は下の動画(1分23秒)で見られます。
あらすじ(第14話)
第13話で、アンテナを回すモーターが止まり、地上の声が聞こえなくなりました。整備士の三村は、船の外からモーターを見ると決めます。
外の扉を開け、命綱を手すりにつないで、三村は船の外壁を前へ進みます。船のAIのエビには、船の外が見えません。頼りは三村の声だけです。エビは「返事は、短くていいので、続けてください」と頼みます。
アンテナの付け根に着いた三村が見つけたのは、回る軸に噛みこんだ金色のシートでした。付け根を包む熱よけのシートが、噴射の揺れではがれたのかもしれません。三村はシートを切り、エビがアンテナを回します。アンテナが地球のほうを向き、受信の印が戻りました。
聞こえてきたのは、地上の声です。ところが地上は、声が途切れていたあいだ船の位置を測れず、船の道が少しずれていると告げます。直すには、三村が地球に着く前の最後の噴射に取っておいた推進剤を使うことになるかもしれません。
見どころ:エビに見えない場所で、声だけでつながる
これまでの話はすべて船の中でした。第14話で、画面が初めて船の外に出ます。そのぶん、エビは何も見えないまま待つことになります。第13話で初めて不安を口にしたエビが、今度は三村の短い返事だけを頼りに待ちます。
回る部分に物が挟まって動かなくなり、宇宙飛行士が船外へ出て取り除くことは、実際の宇宙でも起きています。国際宇宙ステーションでは、太陽電池パネルを回す大きな継ぎ目に金属の削れくずがたまって回りにくくなり、2008年11月の船外作業で掃除と潤滑をしました。熱よけのシートがはがれることも実際にあります。2005年のスペースシャトル・ディスカバリーでは、操縦席の窓の下の断熱ブランケットが破れて浮き上がりました。
地上が「船の位置を測れなかった」と言うのにも理由があります。宇宙船の位置は、地上が船からの電波を受けて、その届き方から測っています。電波が届かなければ、測ることができません。
この動画について
この物語はフィクションです。映像はAIで生成し(Google Veo・Gemini)、図は自分たちで作っています。声は三村と地上がElevenLabs、エビがVOICEVOX(剣崎雌雄)です。音楽はSunoで作りました。台詞と記事で言っている事実は、次の資料で確かめました。
- Space.com「NASA Eyes Worrisome Debris in Space Station Joint」:太陽電池パネルを回す継ぎ目(SARJ)に削れくずが見つかった
- NASA技術報告(NTRS 20130012458):継ぎ目の不具合の調べと、船外作業での掃除と潤滑
- Spaceflight Now(2005年8月):ディスカバリーの断熱ブランケットが破れて浮き上がった
- NASA「Basics of Space Flight」第13章:地上で電波を受けて宇宙船の位置を測るしくみ
第13話の紹介はこちらです。第1〜7話をまとめて見たい方は一気見版もあります。
次回(第15話):ずれた道を直す噴射の前に、亡くなった仲間・早瀬のお父さんの声が届きます。第15話の紹介はこちら(動画 https://youtu.be/MDD7aa0_GEM)。









