AI の 75 年史をまとめる夜の研究ベンチ

AI の歴史を、9 話で読む ── 75 年の、二度の冬と三度の春

1943 年、ある精神科医と二十歳の論理学者が「神経細胞を、1 か 0 か、発火か沈黙か」に抽象化した一本の論文を書いた。そこから 75 年経って、いま私のスマホは私と対話している。その間に何があったか ── ダートマス会議という名づけの夏があり、二度の冬があり、雪の下で芽吹いていた DENDRAL や MYCIN があり、2012 年の AlexNet で潮目が一気に変わり、2023 年に GPT-4 と Claude と Gemini が同時に走り出した。第三章は、その 75 年を 9 話で歩き直す連載です。

本ページは、その全 9 話の通読目次。各話 200-280 字の要約を読めば、AI の歴史の骨格は 10 分で頭に入ります。それぞれの「もっと深く」リンクから記事本体へ。さらに下には、1943 年から 2026 年まで、AI 史を一望する年表をまとめました。

★ この連載が大切にしたこと: 「AI の父」式の断定を避け、独立発見者・並走者を等距離で並べました。「二度の冬」も「神話化された自殺の物語」も、両論併記で。正確さと分かりやすさの両方を、9 話を通して守ったつもりです。

9 話の通読目次

AI の歴史は、どこから始まったのか ── 75年の、二度の冬と三度の春【第三章・序章】
第三章・序章

AI の歴史は、どこから始まったのか ── 75年の、二度の冬と三度の春【第三章・序章】

1943 年のニューロン数理モデルから 2017 年の Transformer 論文まで、AI 史の 75 年を「夜明け / 二度の冬 / 現在へ」の三幕で見渡す序章。記号 vs ニューラルネットの古い綱引きが、今のスマホの中の AI までどう続いているか ── 各時代を深掘りする以降の回への見取り図。

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1956年の夏、AI は生まれた。【第三章・第2話】
第三章・第 2 話

1956年の夏、AI は生まれた。【第三章・第2話】

1956 年夏のダートマス会議で「人工知能」という言葉が生まれた。だが現場では協働は空回りし、全期間参加はわずか 3 名。会議に持ち込まれて冷遇された Logic Theorist、400 個の光電池と物理モーターで重みを回す Mark I パーセプトロン、そして「歩き話し自己複製する機械」と煽った最初の overpromise の話。

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最初の冬【第三章・第3話】
第三章・第 3 話

最初の冬【第三章・第3話】

1969 Perceptrons / 1973 Lighthill / 1974 DARPA SUR 打ち切り ── 三つの引き金が AI に最初の冬を呼んだ。だが、SIGART 会員数は冬の時代むしろ 3 倍に増えていた。「全般的な冬は存在しなかった」と歴史家もいう ── 看板を別名に変えて生き延びた研究者と、雪の下で芽吹いた DENDRAL/MYCIN の地下水脈の話。

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エキスパートシステムの時代【第三章・第4話】
第三章・第 4 話

エキスパートシステムの時代【第三章・第4話】

1980 年代 ── 「知識は力」を掲げたエキスパートシステムが企業の AI 投資 10 億ドル超を呼び込み、年 25 億円を浮かせた XCON が成功の象徴になった。だが絶頂の 1984 年に当の Minsky と Schank が公の場で「冬が来る」と公言していた ── そして同じ XCON が、保守地獄でそのまま冬の象徴にもなる、二度目の春と冬の話。

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深層学習革命【第三章・第5話】
第三章・第 5 話

深層学習革命【第三章・第5話】

2012/9/30、ImageNet で AlexNet が 2 位を 10 ポイント差で圧倒 ── 二度葬られたニューラルネットが、データ (ImageNet)・計算力 (GPU)・冬を生き延びた研究者の三条件が揃った瞬間に主役になった。Schmidhuber「数十年前の古い技術が GPU の高速化を得ただけ」── そして「三度目の春は、過去二度と何が違うのか」という宿題を読者に渡す、第三章の論の着地点。

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派手な勝利と、静かな論文【第三章・第6話】
第三章・第 6 話

派手な勝利と、静かな論文【第三章・第6話】

2016 年の AlphaGo (李セドル戦 4-1・Move 37・Move 78) と、その翌年 2017 年に静かに出た「Attention Is All You Need」── 派手な事件と地味な発明の対比。Deep Blue (毎秒 2 億局面の総当たり) と AlphaGo (自己対局で学習) の質的違い、そして著者 8 名が全員 Google を去ったあと現代の AI 産業を生んだ 60 年の韻 (1957 Fairchild「8 人の反逆者」) の話。

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スケールという賭け【第三章・第7話】
第三章・第 7 話

スケールという賭け【第三章・第7話】

2018-2022 ── サットンの「苦い教訓」、GPT-1/2/3 で一年ごとに桁が変わるパラメータ、Kaplan 2020 のスケーリング則、創発と蜃気楼反論、そして ChatGPT が史上最速で 2 か月 1 億 MAU に達した経緯。賭けは勝った ── でも提唱者サットン自身が 2025 年に距離を置いた、その留保まで含めて読む賭けの哲学。

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群雄割拠の年【第三章・第8話】
第三章・第 8 話

群雄割拠の年【第三章・第8話】

2023 年 ── ChatGPT の衝撃を受け、Google の Code Red、Bard の JWST 誤答デモ、3/14 同日に GPT-4 と Claude、7 月の Llama 2 と Claude 2、12 月の Gemini が一斉に走り出した。同じ土台 (Transformer + スケール) から、能力 (OpenAI)・安全 (Anthropic)・統合 (Google)・開放 (Meta) という 4 つの設計思想へ。各社の打ち出しを完全に等距離で見渡す。

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「答える」から「する」へ【第三章・第9話】
第三章・第 9 話

「答える」から「する」へ【第三章・第9話】

AI は「答える」存在から「する」存在へ踏み出した ── その先で、何を任せ、どこに線を引くのか。Copilot の系譜・AutoGPT・Devin (15% 失敗 vs PR 採用率 34→67%) ・Anthropic computer use ・MCP を等距離で並べ、約束と実力の両論で。序章の問い「次の冬は来るのか」に戻り、本物の春か四度目の冬の前夜かを断定せず、読者に問いを残して第三章を閉じる。

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AI 75 年の年表 (1943-2026)

AI の歴史を、一望できる年表にまとめました。各行の「→」リンクから該当話に飛べます。

出来事 何が起きたか どの話
1943 McCulloch-Pitts ニューロン 神経細胞を 0/1 の論理素子に抽象化。AI のすべての始まり。
1950 チューリングテスト 「機械は考えうるか」を「議論には無意味すぎる」と退け、Imitation Game に置き換える。
1956 ダートマス会議 「人工知能」という言葉が生まれた夏。協働は空回りしたが、名前と目標を残した。
1958 Mark I パーセプトロン 400 個の光電池とモーターで重みを物理的に回した「見る機械」。
1969 Perceptrons (Minsky & Papert) 単層パーセプトロンの限界を数学的に証明。connectionism の funding が約 10 年枯渇する。
1974-1980 ★ 第一次 AI 冬 Lighthill Report (UK) と DARPA Speech Understanding 打ち切り。ただし全般的な冬ではなく、「看板を別名に」生き延びた研究者も多数。
1980 XCON / R1 (DEC) 世界初の商業的に成功したエキスパートシステム。年 25 億円のコスト削減で AI 投資 10 億ドル時代を呼ぶ。
1987-1993 ★ 第二次 AI 冬 LISP マシン市場崩壊・XCON 保守地獄・第五世代計画未達。1993 末までに 300 社が消滅。
2012 AlexNet (ImageNet) 深層学習革命の決定的な引き金。GPU の高速化を得たニューラルネットが覇権を握る。
2016 AlphaGo vs 李セドル Move 37 (1/10,000 の手) と Move 78 (神の一手)。「学習」が「総当たり」を超えた象徴。
2017 「Attention Is All You Need」 Transformer 論文 ── 派手な AlphaGo の翌年、静かに出た現代 LLM の祖先。
2020 GPT-3 (1,750 億パラメータ) Kaplan スケーリング則の実証。賭けは勝ったが、後にサットン自身が距離を置く。
2022/11/30 ChatGPT 公開 5 日で 100 万、2 か月で 1 億 MAU。スケールの賭けが回収された日。
2023 群雄割拠の年 GPT-4・Claude・Gemini・Llama が一斉に走り出した一年。
2024-2026 ★ 答える → する AI が外部世界に手を出し始める。約束と実力の両論で、第三章を閉じる。

続きを読みたい方へ

第三章は「歴史」を縦糸にした連作でした。横糸として「AI の仕組み」(第一章) と「AI と世界の関係」(第二章) を、現在進行形で「AI に関わった人」(第四章) を読むと、各時代の論争が現代の議論にどう繋がっているかが立体化します。

→ 第一章「AI の仕組みを絵で読む」(全 8 話・完結)

→ 第二章「AI と世界のあいだ」(全 9 話・完結)

→ 第三章「AI の歴史を紐解く」(目次ハブ)

→ 第四章「AI と人」(連載中・全 8 話予定)